瀬戸内散歩!広島県・尾道と鞆の浦を巡る

アメリカで最も著名な媒体の一つであり、国際的な影響力も大きい「The New York Times」が発表した「2019年に行くべき観光地」にて、日本で唯一選出され、堂々の第7位に輝いた“Setouchi Islands”。

漁村やドッグの風景が大好物の私にとっても、“瀬戸内”は注目のエリアであり、改めて観光に訪れたいとの想いを募らせていた矢先のランクインでした。

しかし一口に瀬戸内と言っても範囲は広く、一度の旅で回りきれるものではありません。

そこでここ数年何度かに分けて、広島県の備後エリアに当たる「尾道」「鞆の浦」に足を運んできたので、旅行記としてまとめたいと思います。

日本遺産のまち並み、尾道を歩く

まずご紹介するのは、瀬戸内のほぼ中央に位置し、独特の多島美と歴史薫るまち並みで人々の心を惹きつけてやまない「尾道」についてです。

中世の開港以来、多くの人やモノが行き交う港町として栄えた尾道市。

広島市から高速バスを利用しても移動に1時間半は掛かるため、市内には折に触れて訪れている私も、なかなかゆっくり観光する機会がありませんでした。

しまなみ海道は何度か渡ったことがあるものの、街中を散策するのは、大人になってからが初めてだったのです。

尾道水道と尾道三山の間の限られた空間に寺社や家々がひしめき、坂道と路地でつながっているこのまちの風景は、まるで箱庭のよう。

行き交う船やレトロな雰囲気の店を眺めつつ、狭い道に歩を進めてみると、初めて来た場所なのに何故か懐かしく、心が落ち着きます。

一方で古い建物をリノベーションしたオシャレなお店も軒を連ねており、ワクワク。

最初に立ち寄ったJR尾道駅からほど近い場所にある「ONOMICHI U2」は、洗練された空間にホテル・ベーカリー・レストラン・カフェを併設した複合施設で、ランチを頂きながら心満たされるひと時を過ごすことができました。

そんな尾道のまちを一望できるのが、観光客の皆さんが必ず訪れるという一番尾道らしい場所「千光寺公園」です。

千光寺公園までは、「千光寺山ロープウェイ」の利用が便利。

艮神社の大楠や天寧寺の三重塔、千光寺などの景色を眺めながら、尾道市街が360°見渡せる、3分間の空中散歩を楽しみましょう。

公園からの素晴らしい眺めは、NHK Eテレ2355のおやすみソング「尾道の渡し船」の映像を思い出していただけると、分かりやすいですね^^

ちなみに私は行きだけロープウェイに乗り、帰りは細い路地を縫うようにして、徒歩で下って行きました。

途中の道も見どころ満載のため、行き帰りのどちらかは自分の足で歩くことをオススメいたします。

帰り道で特に気に入ったのは、艮神社の東側から天寧寺三重塔にかけて続く約200mの細い路地「猫の細道」

作家の園山春二さんが生み出した“福石猫”を1998年より路地に置きはじめたことから、この愛称で呼ばれるようになりました。

その周辺には空き家を再生した隠れ家的なお店や、美術館なども点在。

猫になった気分を味わいながら、そぞろ歩きを楽しむことができます。

なお猫の細道の他にも尾道のまちには、味わい深い坂道や昔ながらの家屋が幾つもあって、夕暮れまで歩き回っても飽きませんでした。

文化庁が平成27年度に創設した「日本遺産」に認定されたことも納得の、文化・伝統に彩られた本当に素晴らしいまち並みです。

…と、このあたりを散策するだけもかなりの時間が欲しいところなのですが、せっかく尾道市まで来たのであれば、やはり広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの海の道「瀬戸内しまなみ海道」にも足を延ばしたいですよね。

瀬戸内海に浮かぶ島々を7つの橋で結んだ「瀬戸内しまなみ海道」を行けば、青い海・緑豊かな島・美しい橋が織り成す極上の風景を、心ゆくまで堪能することができます。

一つひとつの島をピックアップしてみてもたくさんの魅力が詰まっていますが、私が直近で訪れたのは全国有数の柑橘類生産地として知られる「生口島」です。

生口島で有名なスポットと言えば、もと実業家の耕三寺耕三氏が母の菩提寺として建立したというお寺「耕三寺」。

近年は現代美術の大理石庭園「未来心の丘」が、インスタ映えするとしてかなり人気を集めていますね^^

私が訪れた際も、17時の営業時間終了間近だったにも関わらず、多くの若者たちが丘に登り写真を撮っていました。

ただインスタを抜きにしても、「未来心の丘」は一見の価値があるスケールの大きな場所ですので、是非一度は訪れてみてください。

映画のロケ地でおなじみ!福山・鞆の浦が魅力的

さて続いてご紹介する「鞆の浦」は、広島県福山市・沼隈半島の先端に位置する港町です。

江戸時代に栄えた鞆の浦には、当時から残る常夜燈や寺社・町家が大切に保存されるとともに、瀬戸内海を望む絶景も見事で、訪れる者に癒しのひと時を与えてくれますね。

その風光明媚な姿ゆえに、ハリウッド映画のロケ地やアニメの舞台として選ばれることもしばしば。

私にとっても尾道と同様に、かねてより興味のある街でした。

実を言うと、尾道と鞆の浦は一度の旅行で一気に巡る予定だったのですが、尾道を観光するだけでたっぷり時間を消費してしまいまして^^;

福山市自体が広島市から随分離れていることもあり、鞆の浦単独の旅行を決行することとなったのです。

とはいえ福山駅から鞆の浦は、バスで30分ほど。

バスの本数も適度にあって、余りのアクセスの良さに驚いてしまいました。

さてバスを降りると、そこには穏やかな海と、歴史情緒をたたえたまち並みが。

昔ながらの素朴な港町の風景が、何とも私好みです。

あてどなく散策するだけでも、思わず写真を撮りたくなるような風景がたくさんあって、心が静かに高揚していきます。

時間の流れも、何となくゆったりしている印象。

また趣深い街は思ったよりも広範囲に広がっており、今でも十分人気のエリアではあるのでしょうが、もっともっと注目されてしかるべき場所だと感じました。

中でも鞆の浦のシンボルとも言える常夜燈のある景観は、また格別。

こちらの常夜燈は安政六年己未七月(1859年)に建造されたもので、オランダ商館の医師・シーボルトをして「活気に溢れた町」と言わしめた港町・鞆の浦における海上安全を支えてきました。

ちなみに江戸期の港湾施設である常夜燈・雁木・波止場・焚場跡・船番所跡がほぼ完全なかたちで現存しているのは、全国でも鞆港だけなのだとか。

海中の亀腹型石積まで含めると10mを越すという堂々たる風格の常夜燈は、この地でしか出会うことのできない、ロマンあふれる情景を創り上げています。
常夜燈からほど近い場所に、オシャレなカフェなどが軒を連ねているのも嬉しい限り^^

美味しいパスタを頂きながら瀬戸内海の絶景を臨み、この地を訪れて良かったと心から思うのでした。

尾道・鞆の浦の魅力は、その地に受け継がれてきた“古き”ものを大切にしつつも、空き家をリノベーションして活用するなど“未来”にもしっかりと目を向けて、今あるものに“付加価値”をもたらすまちづくりを推進している点だと感じます。

インスタ映えばっちりのスポットが見付かる一方で、街角のふとした場所に時間の淀みのようなものを発見し、思わずハッとする瞬間があるー。

このように多彩な面を見せてくれる場所を気の向くままに散策し、楽しくも穏やかな心持ちで過ごすというのは、何と贅沢な時間でしょうか。

尾道・鞆の浦を訪れる際には、できるだけたっぷりの時間を用意して、日々の些末を離れた豊かな旅を楽しんでください。