始まりの地・奈良県桜井市で歴史ロマンに浸る

奈良盆地の中央東南部に位置する、奈良県・桜井市

奈良市から30分程度離れた同市は、古くは「やまとはくにのまほろば」とうたわれた“ヤマト”の地域であり、日本の歴史における古代国家成立の舞台として、重要な位置を占めていました。

そのため今も市内には、古社寺・古墳・万葉歌碑などをはじめとする数多くの歴史・文化資源が存在し、訪れる者を魅了しています。

かくいう私も桜井市が一番と言って良いほど好きな観光地で、かなり遠方に住んでいるものの、折に触れてこの地を訪れていますね。

近隣の県でありながら、京都などとはまた異なる趣が、このエリアにはあるのです。

というわけで今回は、日本文化の原点である相撲発祥の地・仏教公伝の地・芸能創生の地・万葉集発燿の地・わが国最古の交易の市である海柘榴市などを擁することから、日本の“始まりの地”と称しても過言ではない桜井市の魅力について、改めてまとめてみたいと思います!

我が国最古の神社、大神神社を訪ねる

桜井市を訪れた際に是非とも足を運んでいただき場所の一つが、古事記や日本書紀の神話にも創祀に関わる伝承が記されている、「大神神社(おおみわじんじゃ)」です。

大神神社は、ご祭神のである大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるために、古来本殿は設けず拝殿の奥にある三ツ鳥居を通して“三輪山を拝する”という原初の神祀りの様を伝えることから、我が国最古の神社と言われていますね。

ちなみに最寄りはJR三輪駅ですが(徒歩5分程度)、私の場合は近鉄電車を経由した方がアクセスしやすいため、近鉄の桜井駅で降り、そこからはレンタサイクルという経路で参拝していますよ^^

周辺を訪れてまず目につくのは、昭和59年の昭和天皇の御親拝を記念して、昭和61年に建てられたという大鳥居。

高さ32.2メートル・柱間は23メートルで、車道をまたぐ鳥居としては日本一の大きさを誇ります。

その先に続く境内も、とても荘厳な雰囲気。

明らかに外とは空気が違っていて、自然と身が引き締まるとともに、清々しい気持ちになりますね。

なお私は拝殿の更に左手奥へ進んだ場所にある「狭井神社 (さいじんじゃ)」にも、必ず併せて足を運んでいます。

三輪の神様の荒魂をまつり、その力強いご神威から“病気平癒の神様”として信仰が篤い狭井神社。

その拝殿脇には万病に効くという薬水が湧き出る井戸があり、「ご神水」として、水を汲みに来られる方があとをたちません。

数々の名所旧跡が迎えてくれる、心のふるさと!

さて先ほど駅からはレンタサイクルで神社まで向かう…とお伝えしましたが、これには理由があります。

大神神社周辺には併せて訪れたい歴史的なスポットが点在しているため、小回りの利く自転車があると、大変都合が良いのです!

冒頭でも軽く触れましたが、相撲発祥の地と伝えられる「相撲神社」に、金屋の大和川沿いにある「仏教伝来の地」、日本芸能の発祥の地という「土舞台」や、わが国最古という古代の市「海柘榴市」跡。

加えて桜井市は“令和”の出典としても話題を集めた「万葉集」発耀の地でもあり、とにかく日本の“初めて”を幾つも網羅しているのです^^

そんな日本“始まりの地”たる同エリアの魅力を存分に味わいたいときには、奈良盆地の山裾を縫うようにして南北に走る古道「山の辺の道」の散策がオススメ。

これまた“日本最古の道”であるという山の辺の道は、本来奈良へと北上する古道であったといいますが、現在は海石榴市から三輪・柳本を経て石上神宮に至るコースが、一般的にその名で呼ばれていますね。

私はこの海石榴市~石上神宮間を走れるところは自転車で、急な山道で無理なところは自転車を引き徒歩にて完走しました。

ただ上り下りが多くハードなうえに、割と距離もあって一日時間を取られるため、エリアを絞って観て回った方が良いかも知れません…。

その他、近隣エリアの見どころをあと2つ紹介させてください。

1つ目は、初期ヤマト政権発祥の地として、あるいは九州の諸遺跡群に対する邪馬台国“東の候補地”として、全国的にも著名な「纒向遺跡(まきむくいせき)」です。

1971年以降、現在までに180次を超える調査が継続的に行われている纒向遺跡は、2013年にその一部が国史跡にも指定されましたが、調査面積は広大な面積の2%にも足りず、未だ不明な部分が多く残されているのだとか。

注目の発見があると、各種メディアでも大きく報じられていますね。

なお、かなり個人的なエピソードで恐縮ですが、2009年に確認された大型建物跡(3世紀前半)の近くから祭祀に用いたと見られる2千個を超す桃の種などが見付かったというニュースが流れた際には、現地まで足を運んで説明を伺ってきました。

たまたまテレビのインタビューまで受けることになったのは、良い思い出です(笑)

その纏向遺跡にほど近い「箸墓古墳(はしはかこふん)」が、個人的にオススメしたい2つ目のスポットとなりますね。

箸墓古墳は全長約270メートル、3世紀後半頃の築造で、宮内庁によって「倭迹迹日百襲姫命の墓」に指定されています。

一方で邪馬台国の女王「卑弥呼」の墓ではないかとも考えられている、ロマンあふれる古墳なのです。

宮内庁が陵墓として管理しているために内部へ立ち入ることは叶いませんが、誰もが知っているのに誰もその姿を見たことがない、謎に包まれた女王・卑弥呼がここに眠っているかも知れないと考えると、古墳好きとしては中々グッとくるものがあります(笑)

このような数々の名所を通じて、訪れる者を神話や古代ロマンの世界へと誘ってくれる桜井という地は、日本の起源に迫る重要な場所であるとともに、悠久の時の流れに想いを馳せることができる“心のふるさと”であるとも言えるでしょう。

少し足を延ばして談山神社・長谷寺へ

桜井駅南口からバスに乗って30分程度と少々時間は掛かりますが、藤原鎌足公が中大兄皇子と大化改新の密談を交わしたことから“談い(かたらい)山” と呼ばれ、これが社名の由来になったという「談山神社(たんざんじんじゃ)」も、是非立ち寄りたい神社です。

紅葉の名所として知られるとともに、縁結びや就職祈願に効くパワースポットとしても、人気を集めています。

また桜井駅から少し離れ、近鉄・長谷寺駅下車徒歩15分で到着する「長谷寺(はせでら)」は、日本有数の観音霊場。

仁王門から本堂へ続く長い登廊が、とても印象的です。

ちなみに私は「源氏物語」の「玉鬘」に登場する二本の杉が見たくて足を運んだのですが、長谷寺は四季を通じて楽しめる“奈良大和路の花の御寺”としても名高く、多くの参拝者で賑わっていますよ^^

記紀万葉ゆかりの地、桜井市。

同市には今回ご紹介したスポットの他にも、数えきれないほどの見どころがあります。

その割に観光地化し過ぎたような、にぎにぎしい感じがなく、ゆったりとした心持ちで過ごせる点が大きな魅力ですね。

一方で、これは奈良県全域に言えることですが、各名所は距離的に割と離れており、公共の交通機関も余り本数が多くないため、事前のスケジュール立てや下調べはしっかり済ませておく方が安心でしょう。

最後に、桜井市を中心とした三輪地方で生産されている素麺は、日本の手延べ素麵の元祖と言われていて、万葉の昔から愛されてきた“本物の味”を今に伝えています。

桜井は、“そうめん発祥の地”でもあるわけですね!

周辺には「柿の葉すし」のお店も軒を連ねていますし、是非美味しい名物にも舌鼓を打ちながら、心満たされるひと時を過ごしてみてください^^