雪と日本の原風景を求めて-白川郷・大内宿ほか-

これまでの人生で、がっつり雪が積もる場所に住んだことが全くありません。

現在の家の周りも年に一回あるかないかの頻度にて、夜の間にうっすら道が白くなる日は見受けられるのですが、その雪が昼まで解けずに残ることは非常にまれですね。

それゆえ豪雪地帯に住む方々が大変な苦労をされていることは理解できるものの、“雪”そのものに対する憧れを小さなころから抱いています。

大人になって旅行で遠方に出向くようになっても気持ちは変わらず、例えば冬の富山を訪れて雪化粧の立山連峰を遠くに臨んだときなどは、涙が流れそうなほどに感動しました。

雪が降らない地域の方にとっては、少なからず共感できる部分があるのではないでしょうか?

加えて真っ白な雪は単体でも美しいものの、“和”を感じさせる景色ととても相性が良く、日本の原風景のような古き良き町並みに、この上なく映える気がします。

そこで今回は私が訪れた名所の中から、特に雪景色が印象的だったスポットを幾つか紹介いたしますので、そのときに抱いた素直な感動を共有していただければ幸いです。

白川郷から金沢へ向かう旅

あるときにふと、自分は北陸方面にほとんど行ったことがないなと思い至りました。

福井県の若狭湾へ海水浴に訪れたことは何度かあったものの、そこから先は私にとって、全く未知のエリアです。

そう考えると旅行熱がにわかに上昇し始めて、早速プランを練ることに。

今回の旅では岐阜県にある白川郷に立ち寄り、その後、石川県の兼六園まで足を延ばすことにしました。

大阪から観光バスに乗り込み、まずは「白川郷」へ。

改めて押さえておきますと、白川郷は日本の原風景ともいうべき美しい景観をなす“合掌造り集落”が評価され、1976年に重要伝統的建造物群保存地区として選定、さらに1995年には富山県の五箇山と共に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録された、日本の故郷とも言えるような場所です。

飛騨地域の中でも山ひだが険しく、急斜面地の間を縫うようにして庄川が流れる、その流域に形成された集落・白川郷。

加えて村は日本有数の豪雪地帯に位置しており、かつてこの地が“秘境”と言われたのは、冬季の雪が周辺との交流を遮断したからに他なりません。

私が訪れた時期は3月の初めでしたが、わずかながら春の訪れを感じさせる日差しの中にありながら、うず高く積もった雪は解けることなく、まるで壁のようにして眼前にそびえ立っていました。

その光景に圧倒されながらも、日の光に輝く目に痛いほど真っ白な雪の色に、抗いようもなく惹き付けられてしまいます。

雪をバックにした合掌造り集落の姿も、見事の一言。

白川郷はかねてより興味を抱いていた場所ではありますが、これほどまでに心を揺さぶられるとは予想外でした。

47都道府県の全てを観光した今になってみても、かなり上位に食い込むほど好きな場所でしたね。

ちなみにこちらのエリアにおいては、普通に人の住んでいる家が重要文化財指定を受けて一般公開されているケースも見受けられるのですが、某旧家のおばあちゃんが「あなた一人やから、景色の写真しか撮れんやろ」と声を掛けてくださり、説明や世間話を交えながら一緒に周辺を散策してくれたことがすごく嬉しかったです。

まだまだ雪が残っているけれど、そこに住む人たちの心は温かいなと、しみじみ思いました。

白川郷は余りにも厳しい自然条件ゆえに、古くから相互扶助の関係を築く「結(ゆい)」の心が大切にされていると言いますが、そのことを実感する素敵な出来事でしたね。

白川郷を後にして向かうのは、石川県金沢市の中心部に位置し、四季折々の美しさを楽しめる庭園として多くの観光客に親しまれている廻遊式庭園の「兼六園」

江戸時代の代表的な大名庭園として、加賀歴代藩主により長い歳月をかけて形づくられてきた兼六園は、加賀百万石の文化を映す歴史的文化遺産であるとともに、水戸偕楽園・岡山後楽園とならぶ「日本三名園」の一つです。

日本三名園は全て見て回り、それぞれに違った良さや趣を感じましたが、兼六園に関しては特に“洗練されている”印象を受けましたね。

季節によって全く異なる表情を見せるのでしょうから、また温かい時期にも訪れてみたいものです。

奥会津の観光スポット、大内宿を訪ねる

続いての旅行記は、別の機会に福島県を訪れた際のものです。

日光を巡ったあと、私は奥会津の「大内宿」に立ち寄りました。

実を言いうと、こちらはほぼノーマークのスポットだったのですが、観光バスの行程に組み込まれていたため、期せずして足を運ぶこととなったのです。

事前知識も持ち合わせていなかったものの、実際に大内宿の町並みを目の当たりにすると、古い時代にタイムスリップしたかのような錯覚を抱きながら、その魅力にすっかり心を奪われてしまいました。

江戸時代に、会津若松市と日光今市を結ぶ重要な道の宿場町として栄えた大内宿。

街道沿いには現在も江戸時代の面影そのままに、茅葺屋根の民家が幾つも建ち並んでおり、昭和56年には国選定重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。

なお江戸時代の風景…と言っても時代劇に出てくるような、悪く言えば仰々しい町並みが残っているわけではありません。

素朴ながらもどこか品があり、雪が積もっているのに不思議な“温かみ”をたたえる茅葺屋根の家々。

初めて訪れる、自分が生まれたところから遠く離れた場所ではあるのですが、その家並みを眺めていると、どういうわけか懐かしさで胸がいっぱいになります。

まさしくこういう眺めのことを、日本の原風景と呼ぶのかも知れません。

真っ白な雪を踏みしめながら町の奥に進むにつけても、爽やかな感動が沸き上がってきます。

このような場所が日本に残っており、自分がその場に立っていることへの感謝を抱きながら、この先もずっと消えてほしくない風景を心に刻みました。

ちなみに大内宿ではこの大切な村と宿場の景観を未来の子どもたちに引き継いで行くべく、住民憲章を作って「売らない・貸さない・壊さない」の3原則を守りながら、景観の保存にと、伝統的な屋根葺きの技術習得及び継承に全員で取り組んでいるのだとか。

こういった人の力が、未来につながっていくのでしょう。

帰りがけには、長ネギを箸がわりに用いて食すユニークで豪快な名物「ねぎそば」も堪能して、大満足!

私が住む地域から簡単に訪れることのできる場所ではないですが、いつか再訪の機会に恵まれるよう願います。

さて福島では、かの有名な「鶴ヶ城」にも行くことができました。

私は幕末の歴史に詳しいわけではないのですが、割と前から松平容保という人物に興味があったので、かつてこの地で起こった出来事を想い、しばし感慨に浸りましたね。

鶴ヶ城も、やっぱり雪景色。

ほんの少し前に行った高知県はあんなに暖かかったのに、日本の気候はすごいなと、改めて感じます。

最後は雪に映える城の姿を写真に収め、帰路に就きました。

今回の記事は“雪”を一つの軸にまとめてみましたが、気候が違えばその地で育まれた文化も違うということで、やはり遠方の県を旅すると様々な発見や新鮮な驚きがあります。

海外はもちろん、国内にも数えきれないほどの魅力的な場所がまだまだ存在するのだと、今更ながら思い知らされた2つの旅行でした。

今後も色々な方面にアンテナを張りつつ、気になるスポットには積極的に足を運んでいきたいです。